2009-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「いったいこの自由思想というのは、」と固パンはいよいよまじめに、「その本来の姿は、反抗精神です。破壊思想といっていいかも知れない。圧制や束縛が取りのぞかれたところにはじめて芽生える思想ではなくて、圧制や束縛のリアクションとしてそれらと同時…

太宰治 『パンドラの匣』

主人公の少年 《ひばり》 は結構金持ちである。父親は数学者で、「いつも貧乏」 と書かれているが、そんなことはない。畑を持っていて、終戦前後でも食べ物に困らないし、着物も羽織など良いものを着ている。 「……ひばりのお父さんて、偉いお方ですってね。…

伊坂幸太郎 『重力ピエロ』

息子が本棚から 『海辺のカフカ』 を持っていったので、かわりに借りる。

第8講 田山花袋 『蒲団』(1)

http://homepage2.nifty.com/akoyano/juku/top.html - 文学コース 講義ノート 講義の最中にとったノートをほぼそのまま写したものなので、文責はすべて kanimaster にあります。 モテる男は 『蒲団』 が嫌い。 中村光夫は 『蒲団』 を憎んだ。だが、昭和5年…

太宰治 『正義と微笑』

『正義と微笑』 は昭和17年に発表された中編小説。主人公の16〜17歳(数え年)のときの日記という形式で書かれているが、一体いつの時代の話なんだろう? と思って、昔のカレンダーをたよりに調べてみた。 誕生日は何曜日? 冒頭、「四月十六日。金曜日。」…

人はなんによって生くるか

《私》 が土堤で釣りをしていると、隣に男がやってきて釣り始める。 ……私が竿をあげようとするまえに、脇で釣りだした人が私に呼びかけた。 「人はなんによって生くるか」 私はそちらへ振り向いた。 「人はなんによって生くるか」 (中略) その男は現場監督…

田山花袋 『少女病』

37歳の主人公、杉田古城は文学者である。若い頃は多少売れる小説も書いたが、最近は鳴かず飛ばず。出版社で校正の仕事に追われる日々である。しかし、仕事の合間にも、美文新体詩を書き、少女の美しい姿を想像しては原稿用紙に向かっている。同僚は杉田を揶…

フィッシャー=ディースカウ/シューベルト 『美しき水車小屋の娘』

シューベルト:美しき水車小屋の娘アーティスト: フィッシャー=ディースカウ(ディートリヒ),シューベルト,ムーア(ジェラルド)出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン発売日: 2006/01/25メディア: CD購入: 1人 クリック: 51回この商品を含むブログ (1件) …