太宰治 『パンドラの匣』

  • 主人公の少年 《ひばり》 は結構金持ちである。父親は数学者で、「いつも貧乏」 と書かれているが、そんなことはない。畑を持っていて、終戦前後でも食べ物に困らないし、着物も羽織など良いものを着ている。

「……ひばりのお父さんて、偉いお方ですってね。場長さんが、いつかそうおっしゃってたわ。世界的な学者ですってね。」


 太宰治パンドラの匣

  • 新入りの患者が、いきなり眺めの良い窓際のベッドを占める、というのは、普通に考えたら、家族が病院を買収しているとしか思えない。《ひばり》 の場合は、父親が多額の寄付をしたとか、そのあたりだろう。
  • 冒頭の 「作者の言葉」 には、「二十歳の男の子から、その親友に宛てた手紙」 と書かれているが、旧制中学を卒業した翌年の話なので、満18歳くらいではないだろうか。
  • それにしても、《ひばり》 君、モテモテである。
  • これが村上春樹の小説だったら、助手(看護婦)が夜中に部屋にやってきて、フェラチオする場面が描かれるレベルのモテっぷりだと思う。