2011-01-01から1年間の記事一覧
数へ日や家路を急ぐ人多し 日記買ふ習慣もなくなりにけり 閑かなる県道沿いや年の暮 三日月の沈みて暗し寝酒かな お湯割りのグラスの向かふに山眠る
「食」をテーマにしたエッセイ集、『おとなの味』(2008年刊)を読んだ。 箸で崩しかけると、もはや梅干しはあられもない風情である。ちょっと待って、そんな一気に脱いでいいの。出し惜しみというものがあるのじゃないの。こちらがおろおろするほど、気前よ…
紅玉の香り良きかな待降節(アドベント)
客待ちのタクシー並ぶ冬至の日 いそいそと帰り支度の冬至かな
日は落ちて北風寒し桜田門 街灯に枯葉の踊るアンドゥトロワ くるくるとポインセチアは万華鏡
この道を行けども行けども寒椿 糸杉の落葉を踏みて音もせず トナカイが運ぶ PSVita かな
風強き日比谷通りに落葉散る 木の葉舞う夜の寒さやビルの下 年の瀬やテールランプの並び行く 風強し乗換駅の寒さかな 着膨れし電車の中でPSP モツ鍋の湯気の向こうの笑顔かな
冬空に高く響けや合唱団 秘め事もお見通しなり冬の月
寒月を窓越しに見る子猫かな 窓舐める猫の向うに冬の月 かじかむ手されど今夜は月祭り 着ぶくれてじっと待ってる観月会 月蝕の待ちきれぬ間の燗酒かな 月影に甍は白し冬の夜 北風の止みし瞬間紅き月 満天の星を見上ぐる寒き夜
ポッキーの先に霙のひとしずく ああちくしょう俺の真上に冬の月
鴨たちの雨宿りする橋の下 友よりのメッセ嬉しや師走の夜 雨上がり肩に貼り付く銀杏かな
短日やひなた求めて猫うごく
僕が毎年使っている 「医療費控除ノート」 のテンプレート(Excel 形式)を無料で配布します。 この記事の末尾にダウンロード用リンクがあります。 「医療費控除ノート」 とは 確定申告、医療費控除還付申告の際、税務署に提出する添付書類です。 1〜12月に…
木枯しや雀の並ぶ窓の外
山茶花の散る足もとの柔らかさ 冬浅し西新宿のネオン街 思ひ出の横丁出れば冬の空
足元にじわり張り付く時雨かな
病室の窓辺に日差す小春空 どの家もポインセチアを飾る午後 木枯らしに負けずフリック入力す
イヤホンのボリューム上げる初時雨
暖房のロングシートの心地よさ 小春日や猫の尻尾で起こされる
アラームを止めて二度寝の寒さかな 霜月や毎年同じ手帳買ふ
別冊蟹亭奇譚 id:masazangi さんにご招待いただきました。よろしくどうぞ。
とある大通りに面した1軒のジャズ・バー。 スピーカからは、ビル・エヴァンス・トリオの「エクスプロレイションズ」が流れている。 「ビル・エヴァンスって、やっぱりスコット・ラファロと組んでたときのが一番だよね」 カウンターで、甘口のカクテルを舐め…
古本の匂ひを嗅ぎに神保町 文化の日人の少なしガード下 秋の日の温みを惜しむ芋焼酎
霜月や画帳抱える人多し
晩秋の雨の近づく今宵かな 三日月の隠るる前に帰りたや 甘藷煮る匂ひうれしき夕餉かな
一九六九年、新宿。ある日突然、街全体が緑色の蘇苔類に覆われ、死滅して行く。そのことに気づいているのは、《ぼくたち》数人のヒッピー族だけだ。そして、街の人々には《ぼくたち》のことが見えないのである。 やがて、冬の陽がビルの向うに堕ちはじめた頃…
最近、当ダイアリーは俳句ブログになりつつあるのですが、僕は俳句に関しては全くの素人です。 俳句を始めたのは15年前。友人と東北を旅行した際に筆記用具を持ち歩き、移動中にちょこちょこ詠んだのが最初でした。詠み始めたら面白くなってしまい、旅行中に…
椎茸をことことことと煮含める 秋寒し首にタオルを巻いてゐる ビルの間に銀杏拾う人ありき
あちこちにブーツの音の響く秋 秋寒や背中(せな)を丸めて電車待つ ことことと芋を煮ながら灰汁掬う 木枯らしの音を聞きつつ長湯かな 冬近し職場にマスク過半数 木枯らしやポッケにそっと手を入れる
風呂上り窓を開ければ十三夜 音楽も灯りも消して後の月