2010-10-01から1ヶ月間の記事一覧

島崎藤村 『藤村詩集』

島崎藤村は明治30〜34年に4冊の詩集を発表した。彼にとって20代後半という時期のことである。 藤村の詩は当時流行していた新体詩と呼ばれる文語定型詩である。新体詩といっても、北村透谷の作品などは字余りが多いのだが、藤村作品は律義に七五調を守り、各…

芥川龍之介 『上海游記・江南游記』

大正7年の谷崎潤一郎に続いて、大正10(1921)年3〜7月、芥川龍之介は大阪毎日新聞の特派員として、中国各地を旅行した。『上海游記・江南游記』 は芥川が帰国後に執筆、新聞に連載した紀行文を中心にまとめた本である。 上海の日本人倶楽部に、招待を受けた…

バッハ 『無伴奏チェロ組曲』 聴きくらべ

ヨハン・セバスチャン・バッハの 『無伴奏チェロ組曲第1番ト長調 BWV1007』 から、有名な第1曲 プレリュードの演奏を、YouTube で聴きくらべてみることにする。 パブロ・カザルス(1876-1973) 1890年、若きカザルスは楽器店で当時全く無名だった 『無伴奏チ…

デヴィッド・ボウイ/China Girl

デヴィッド・ボウイが1983年に発表した "China Girl" もまた 《支那趣味》 である。 PV に登場する女性はなんとなく江角マキコみたいな感じだが、欧米人が感じる 「典型的な中国人」 の顔立ちなのだろうか? レッツ・ダンス(紙ジャケット仕様)アーティスト: …

谷崎潤一郎 『西湖の月』

谷崎潤一郎は、1918(大正7)年と1926(大正15)年に中国を訪れた。特に第1回の中国旅行の後、「支那趣味」 と呼ばれる異国情緒あふれる作品を多数発表している。異国情緒といれば聞こえは良いが、要するに植民地主義的な臭いがぷんぷんする作品群である。 …

吉祥寺ねこ祭りに行ってきた

http://musashinocat.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/post-ed5f.html 「吉祥寺ねこ祭り」 なるイベントが開催中と聞いて、久しぶりに吉祥寺で出かけた。 ギャラリー、猫グッズのショップ、カフェなどが同時に、チャリティ(地域猫の活動のための募金)を兼…

パブリックドメイン・アーカイブの音源を聴いてみた

著作権切れのレコード、CD音源を MP3 形式で無料でダウンロードできるサイト、 を利用して、好きな音楽をいくつかダウンロードしてみた。 ダウンロードしたファイルのアイコンを iTunes のプレイリストのウィンドウにドラッグすれば、曲目や演奏者のデータも…

坂口安吾 『桜の森の満開の下・白痴 他十二篇』

岩波文庫の短篇集感想。 坂口安吾は 『不連続殺人事件』 と 『風博士』 くらいしか読んだことがなく、まとめて読むのは初めてである。 本書には、坂口安吾の短編小説の中から、自伝的作品を除く純文学および幻想文学の代表作が集められている。 七北数人 『…

坂口安吾 『風博士』

諸氏よ、誰人かよく蛸を懲(こら)す勇士なきや。蛸博士を葬れ! 彼を平なる地上より抹殺せよ! 坂口安吾 『風博士』 世の中に面白い小説は数多いけれど、面白すぎて何度も読み返してしまう作品というのはそんなに多くはないだろう。『風博士』(昭和6年発表…