2013-05-01から1ヶ月間の記事一覧
大陸に帰る家なし通し鴨
千人に千の扇や渋谷駅
ご飯にはシチューをかけて南吹く 南風南風南風まじで南風(みなみかぜなんぷうみなみまじではえ)
珈琲を少し残して走り梅雨 髪型を気にしてばかり走り梅雨 ビニ本でなければならぬ走り梅雨
壇蜜の髪光りけり五月雨 壇蜜も剥いて吸ふらむ夏蜜柑 壇蜜の苺を含む口の中 壇蜜の黒髪上げて浴衣かな
◆第31回いるか句会告知 | 堀本裕樹オフィシャルサイト 5月25日(土)、第31回いるか句会に参加。以下の5句を投句しました。 少年の袖捲りたる五月かな 幸せを呼ぶ泉へと並ぶ列 川下に艀(はしけ)の眠る青葉闇 白百合の中の遺影の笑まひかな ジグザグに川…
五拍子の行進曲や惑星忌*1 *1:5月25日は、作曲家グスターヴ・ホルスト(1874-1934)の命日。
下の名で呼合ふ仲や花胡瓜
夏草や幼女の唄うシューベルト おにぎりを三つ抱へて青嶺かな 繰返すシフトダウンや雲の峰 丹沢の青嶺の先に富士の山
麦秋や二匹の猫のお見送り 麦秋やクラリネットの五重奏 麦秋や出席番号一から五 リクルートスーツ並んで麦の秋 万緑の下に艀(はしけ)も眠りけり
小満や色の褪せたるスニーカー 小満と仲良くするの止めました 小満にますます空の低さかな 鉄屑を拾ふ少女や雲の峰
パパにパセリママにはマーマレードジャム パセリにも媚薬効果の噂かな 天空の城の庭にもパセリかな 伝説の風の谷にもパセリかな おかわりを勧められたるパセリかな パセリ挿すコップの中の泡(あぶく)かな 粗塩で肴となるや揚げパセリ
剥き方が未だ判らず夏蜜柑 高校生らしき演技を夏蜜柑
鉄道の止まる理由は青嵐 酒のアテに齧るキャベツや反省会 あんぱんを割つて大きく白牡丹
村中の日傘の集ふ参観日 先刻(さっき)のは母の日傘の匂ひかな 上下に繰言申す日傘かな 日傘より零れてをりぬ太り肉(じし) 右手には日傘左手には文庫 白日傘大人になつてしまひけり
二羽の鵜の翼拡げて向合ひぬ 満腹の鵜の静かなる吃水線 釣人と河鵜の睨み合ふところ
どくだみに塞がれてをり猫の道
人妻のよろめく卯月曇かな
走り茶に故人の話題尽きぬまゝ
眼裏に目高の泳ぐ夢の中 iPodプレイリストに夏きざす タイツからストッキングへ夏兆す 夏めくやちらりとのぞくランガード クリスティの背表紙赤し夏兆す 薫風やパフェを一人で喰う男
断髪のモダンガールや虞美人草
野茨のカペナウムにも咲きぬべし
留守電が訃報を告げて夏の蝶 午後からは雨も上がつて夏の蝶 日中は夏蝶として過しけり 夏蝶と背中合わせや雨宿り 夏蝶や背中合わせの雨宿り
礼拝は午前十時に蔦青し ネクタイを少し弛めて蔦青葉
薫風や最高気温二十五度 薫風やアオザイのゐる料理店
先輩を先輩と呼び青嵐 先輩にも先輩がいて青嵐 青あらし拳を振つて歌ひつゝ 青嵐京都大原三千院 小脳の奥のあたりに青嵐 弦楽の不協和音や青嵐
弁当のご飯の上に鰹潮
新緑の響(どよ)もす音に目覚めけり 新緑や夫の失踪して五年 初夏や猫も句集を覗きつゝ 初夏の猫と読むなり子規句集 新緑は先ず教室のひだり側
遠目には見処もあり水木の花 妻の叩く吾の額に蚊の骸
幾度でも回るプリンや夏きざす 直線に鯖が七皿やつてくる 薄切りのシャリ透き通る初松魚 耳かきのやうな小匙で新茶かな