2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧

春雪

春雪や足元ばかり向ひてをり 春雪を湛へて黒し神田川 マフラーを其々に巻く二月尽 カフェオレで眼鏡曇るや春の雪 閏日や寂しき風の吹き過ぎぬ

東京事変解散

春の宵船出準備の武道館 春雪の止みて五人は出航す 春の夜や雲の切れ間に五つ星 アリーナは開幕を待つ春の浪 春の宵旗振りて待つキネマかな 幾万の耳轟かすキラーチューン ステージの波間に浮かぶ舟一葉 亀鳴くやベースギターの響きけり 浮雲や次のコードは…

春の海

春の海ヘリ飛ぶ音の近さかな 裏拍で米を研ぐなり春の宵 斜交いに膝の触れ合う春炬燵 治聾酒やイヤホンの音下げにけり*1 治聾酒や理屈は後だ生二つ 治聾酒や四合目にはきっと効く 春挽糸繭の中からカネゴンが 斜交いに膝の触れ合う春炬燵 *1:「治聾酒」は春の…

白子干

飯の湯気を白子干にて塞ぎけり 大きめの匙で頬張る白子干 春炬燵去年の靴下ここにあり

春の土

春の土ズボン汚して怒られる リハビリの杖の先にも春の土 セシウムを測りて後の春の土 新参の三毛ですよろしゅうたのんます 出代りの理由は音楽性の違い*1 *1:Twitter. It's what's happening.より。「「出代(でがわり)」昔の風習。奉公人が契約期間を終え…

長谷川櫂 『震災句集』

長谷川櫂 - Wikipedia 燎原の野火かとみれば気仙沼 幾万の雛わだつみを漂へる 八つの章から成る本句集のうち、二章の初めが上の二句である。かなりどきっとする句だ。 特に雛の句。家庭に飾られる雛人形は、個人の所有物であり、親の代から受け継がれてきた…

剪定

剪定の一裁ちごとに空広く 剪定の終りて空の広さかな 剪定なんかしなければよかった 剪定や高枝バサミは三メートル

水温む

水温む寄り道多き散歩かな

春の空

マフラーをリュックに仕舞ひ春の空 春の空などに騙されてはいけない ストラヴィンスキー作曲百千鳥 百千鳥少年少女合唱団

蜆汁

蜆汁もっと早めにメールしろ

猫の恋

馬酔木の芽じつと咲くのを待つてゐる 駄菓子屋の外の死闘や猫の恋 春の鹿A面3分30秒 アナログの呼子鳥ウィズ・ストリングス 春の雪猫の骸に積もりけり

梅日和

リハビリを兼ねて歩むや梅日和 空色の車五台や梅の里 道端で蕗の薹売る媼かな 囀りかと思へば翁の笛なりき

春の朝

トーストにバター二度塗る春の朝

寒食

寒食やヨハネの首を所望せり

雨水

多摩川の川幅狭し雨水かな せっかくの春服なのに寒戻る 失恋のひとも吹くなりしゃぼん玉

{俳句] 淡雪

片恋を語るひとあり春の雪 春雪やひとの恋路をただ聞きぬ 相模野に春の霙の落ちにけり 春雪や真犯人まで百ページ 淡雪や寝息と脈の音ばかり 春暁や大逆転まで数ページ

藪椿

門先に誰が置きしか紅椿 外套のフードに落ちし藪椿 幼子の通夜は終わりぬ春の暮

芽立ち

木蓮の芽立ちそろそろカウントダウン 春めきて猫も日向の匂ひかな

春の雪

春浅し津軽の風は届きけり 津軽より風の届きし余寒かな 珈琲の冷める早さや春の雪

聖バレンタインデー

チョコ一つ二つ三つの春の宵

日は暮れて香りばかりや梅の里 岩波の虚子を求むる春の午後

朧月

朧なる月静々と上りけり

アルティメットねむい

春めいてアルティメットの眠さかな 春眠をむさぼるアルティメットかな 眠たさもアルティメットや春の午後 紅梅やアルティメットにうとうとす 春の日のアルティメットや生あくび 春雨が上がればアルティメットねむい

鶯餅

幟見て買ひし鶯餅二つ

春雨

屋根を打つ太鼓の如き春時雨 叱られし猫しょんぼりと春の雨 春雨が止めば向かひで友待てり

ロック俳句

春の日や亡き子を謳うクラプトン もう一度声を聴きたやカレンの忌 目覚ましの音で沸き立つ狂気かな 春眠をむさぼる原子心母かな 体制をシドが壊した二分半 立春の夜はハートに火をつけて アンジーと我の別れる時来たり 春浅し眠りを誘ふメロトロン ハモンド…

冬に死にたい

死ぬときは冬に死にたいサンタマリア

春近し

コサージュをさす人もあり春近し 助手席の甘き残り香春近し 仄白く月夜に霜の輝けり

息白し

上弦の月に吐息の白さかな