2009-04-01から1ヶ月間の記事一覧

はじめてのシャボン

…………おばあさんは木曾の山の中にめずらしい横浜土産を置いて行った人があると言って、それをお民のいるところへ取り出して来て見せた。 「これだよ。これはお洗濯する時に使うものだそうなが、使い方はこれをくれた人にもよくわからない。あんまり美しいもの…

これが江戸か

やがて半蔵は佐吉を呼んだ。翌朝出かけられるばかりに旅の荷物をまとめさせた。町へは鰯を売りに来た、蟹を売りに来たと言って、物売りの声がするたびにきき耳を立てるのも佐吉だ。佐吉は、山下町の方の平田家まで供をしたおりのことを言い出して、主人と二…

松雲和尚の帰還

馬籠の村にある万福寺に、松雲(しょううん)和尚が帰ってくる。彼は京都本山での修行を終えたばかりで、三十歳そこそこの若い住職である。 松雲は長い間、留守にした寺内を見渡し、まず何から手をつけたらよいか考える。 ……彼は考えた。ともかくも明日から…

半蔵の祝言

『夜明け前』 が面白すぎる。 「お父(とっ)さん――わたしのためでしたら、祝いはなるべく質素にしてください。」 「それはお前に言われるまでもない。質素はおれも賛成だねえ。でも、本陣には本陣の慣例(しきたり)というものもある。呼ぶだけのお客はお前…

島崎藤村 『夜明け前 第一部(上)』

夜明け前 (第1部 上) (新潮文庫)作者: 島崎藤村出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1954/12/28メディア: 文庫 クリック: 17回この商品を含むブログ (10件) を見る 1200ページを超える長さの小説なんていくらでもあるのだけれど、本作が異様に長く感じられるのは…

村上春樹と山羊の上の歯

ヤギには上の歯(正確には上顎門歯)がないらしい。ジブリは山羊に愛がない。 - Something Orange 上の記事を読んで、村上春樹 『アフターダーク』 を思い出したので、僕も重箱の隅をつついてみることにする。 男は『ファイブスポット・アフターダーク』の最…

はてなダイアリー覚書

最近、メインで使っている fc2 ブログ(サイドバーからリンクしてるやつ)よりも、ここのはてなダイアリーのほうが更新頻度が高くなっている。 しかし、そろそろメインのほうに拠点を移すことにしたいと思っている。 読み終わった本の感想記事などは、こちら…