Miles Davis / At Carnegie Hall

 ニューヨークにあるクラシック音楽の殿堂、カーネギー・ホールにおけるライヴ盤。マイルス・デイヴィスクインテットギル・エヴァンス・オーケストラの共演アルバムである。
 全7曲入り。(3), (4), (5) はクインテットのみの演奏、(2), (6), (7) はマイルスとオーケストラによる演奏、(1) はクインテットとオーケストラの共演(ただしオケが出てくるのは序奏部のみ)である。
 (1) はオーケストラによる序奏から始まるが、ベースが奏でるテーマの後、いきなり金管楽器のフォルテッシモが出てびっくりする。しかもオケが半拍遅れているので、ずっこけてしまう。そのあとのクインテットの演奏が素晴らしいだけに、残念な結果となった。そのほか、全体にクインテットは緊張感、集中力ともに高く、非常に優れていると思う。前作 "At Blackhawk" とは対照的な演奏である。
 音質はダイナミック・レンジが狭いのが難点で、オケのパートは音が割れている。疑似ステレオだが、モノラル・ミキシング盤も出ているらしい。

 こちらは同時期に発売された同日録音の続編。楽曲の重複はない。(2枚のアルバムを合わせて2枚組として発売している CD もあるらしい。)
 全5曲入り。(1) と (2) はつながって演奏される「アランフェス協奏曲」。(3)〜(5) はクインテット演奏。
 前半を占める「アランフェス協奏曲」はつまらない。こういう繊細なアレンジを楽しむタイプの曲は、やはり音質が良くないとだめなのかもしれない。
 後半は、ジミー・コブのベスト・パフォーマンスと呼ぶべきドラム・ソロが聴ける (4) "Walkin'" から、バラード (5) "I Thought About You" (これもベスト・テイク)へ移る流れがすばらしい。(編集でつないでいるのだろうけど、ごく自然に聞こえる。)