Cannonball Adderley / Cannonball Adderley Quintet In Chicago

 マイルス・デイヴィスセクステットのメンバー5人が、ツアー先のシカゴのスタジオで録音したアルバム。キャノンボール・アダレイが所属していたレコード会社マーキュリーの営業戦略もあっただろうが、事実上、《マイルス・グループのボス抜きセッション》 である。専制君主マイルスの不在故の解放感みたいなものが感じられ、全員がおおいに明るく自由に演奏しまくっている好セッションとなった。
 全6曲入り。(3) はキャノンボール作曲、(4) と (6) はコルトレーン作曲で、ほかはスタンダード・ナンバー。二人のサックス奏者のソロやバトルが聴かせどころになっているが、(2) と (5) はスロー・バラードで、それぞれキャノンボールコルトレーンをフィーチャーしたカルテット演奏になっている。
 演奏内容はノリノリのハード・バップ。アルバムでいうと "Milestones" が一番近いだろうか。また、(4) は "Giant Steps" に収録されていてもおかしくないような曲・演奏だ。
 とにかく、この時期の彼らはものすごい勢いを持っていたことは確かである。この1ヶ月後、マイルスはメンバーを招集、"Kind Of Blue" の録音が行われたのであった。