Miles Davis / Collector's Items

Collector's Items

Collector's Items

 1953年と56年、2種類のセッションを収録したカップリング盤。有名というわけではないがそれなりに貴重な録音という意味で、「コレクターズ・アイテム」というタイトルはきわめて妥当だと思う。
 前半4曲は、チャーリー・パーカーソニー・ロリンズ、テナー・サックス二人を加えたセクステットの演奏。パーカーは別のレコード会社と契約していた関係上、チャーリー・チャン*1 名義で参加している。なお、パーカーがテナーを吹いている録音は、Charlie Parker Studio Recordings On Savoy Years 収録の4曲と本セッションのものしかないらしい。
 (1) と (2) は同じ曲の別テイク。(2) のほうが少しテンポが速い。ここでは、マイルスはトランペットの高音が出ずに、テーマのサビ部分で思い切りコケている。ソロもひどいものだと思う。ソニー・ロリンズのソロはかっこいい。パーカー(演奏直前に酒を飲んでいたといわれる)はエンジンがかかるまで時間がかかる。
 セッション全体を盛り上げているのは、当時19歳のドラマー、フィリー・ジョー・ジョーンズ。酔っ払いとジャンキー共をよくまとめ上げ、かつ奮い立たせたものだと思う。
 後半3曲は、ソニー・ロリンズを加えたクインテット演奏。マイルスは55年秋にはレギュラー・クインテットを結成していたから、本セッションはその後の録音ということになる。この頃になると、マイルスのトランペットがまったく変化していて、非常に切れ味鋭い音を出している。
 (5) はマイルスもトミー・フラナガンのピアノも実にいい感じなのだけれど、エンディングの途中で突然演奏が終わってしまう。(6) "Vierd Blues" は作曲者名が書かれていないのだが、56年5月録音の "Trane's Blues" (ジョン・コルトレーン作曲)と同じ曲。(7) も同年5月のセッションで再演されている。

*1:Charlie Chan というのは1920年代以降に人気のあった探偵小説・映画の主人公の名前。ハワイを舞台にした警察もので、中国系警察官のチャン警部が活躍した。