Thelonious Monk / Brilliant Corners

BRILLIANT CORNERS

BRILLIANT CORNERS

 モンクのリヴァーサイド第3作は、共演歴のあるミュージシャンを中心にオリジナル曲を演奏するぶっ飛んだセッションを収録し、50年代モダン・ジャズを代表する名盤となった。
 全5曲入り。(4) はスタンダード・ナンバーでソロ・ピアノ。ほかはモンクのオリジナル曲で、バンド演奏となっている。
 レコーディング・セッションは3回に分けて行われた。最初のセッションはサックス奏者二人を加えた演奏。曲もアレンジも素晴らしく、ソニー・ロリンズも絶好調のソロを聞かせる。(3) ではモンクはチェレスタというオルゴールみたいな音の楽器を弾いている。
 2回目のセッションで録音されたのは (1)。冒頭、90BPM前後で始まる曲だが、途中で190BPMのアップテンポになる。(解説書などには必ず「倍速」と書かれているようだけど、2倍以上の速さである。)変な曲、変なアレンジであり、当然難易度も高い。結局、25テイクも録音した結果、OK が出ず、テープ編集によって完成させたといわれている。
 3回目のセッションはメンバーが二人入れ替わる。ブルーノート盤収録曲の再演だが、こちらのほうががっちりと編曲されているようだ。メンバー全員のソロが少しずつ入っているけれど、ロリンズはどこで終わったらよいのかわからずに混乱しているような感じがする。マックス・ローチティンパニで印象的なフィル=イン(おかず)を叩いている。
 56年のモノラル録音とは思えないほど、高音質のアルバムだと思う。