Thelonious Monk / Thelonious Himself

セロニアス・ヒムセルフ+1

セロニアス・ヒムセルフ+1

 "Solo On Vogue" (1954年録音)に続く、モンクにとって2枚目のピアノ・ソロ・アルバム。
 オリジナル LP は全8曲入り。(3), (6), (8) がモンク作曲のオリジナル。ほかはスタンダード・ナンバーである。全曲がバラードまたはスロー・ブルースなどゆったりとしたテンポになっているばかりか、テンポ・ルバート(一定の速さではなく緩急を伴うテンポの演奏)で弾かれていて、どこか内省的な感じになっている。
 (6) "'Round Midnight" はすでに何度も録音されている名曲だが、このヴァージョンが一番良い。CD 化の際に追加された (9) は22分間におよぶ "'Round Midnight" のリハーサル音源を収録したもの。何度も練り直しながら、楽曲を創りあげていく様子がわかって興味深いのだが、資料的価値以上のものではなく、アルバムを鑑賞する上では無用である。
 オリジナル・アルバムの最後 (8) は、ジョン・コルトレーンのテナーとウィルバー・ウェアのベースが途中から加わるところ、何度聴いてもぞくぞくする。コルトレーンのテナーは、ノン・ヴィブラートでクリアな音を聞かせる。麻薬中毒のためマイルス・デイヴィスのグループをクビになったコルトレーンが、モンクのところへ転がりこんだ時期といわれているが、実にすばらしい演奏である。
 このあと、モンクとコルトレーンの共演はしばらく続く。