Art Blakey's Jazz Messengers with Thelonious Monk

 ハード・バップの雄アート・ブレイキーセロニアス・モンクのコラボレーション盤。当時、ブレイキーはブルー・ノート・レーベルと、モンクはリヴァーサイドとそれぞれ契約していたが、本アルバムはアトランティックから発売された。
 ブレイキー率いるジャズ・メッセンジャーズはメンバー・チェンジが最も激しかった頃であり、1955年の結成以来、リーダー以外全員交代、しかも2周目という時期にあたる。本セッションのあと、さらにもう1度全員交代して、1958年に名盤 "Moanin'" を録音し、ようやく安定期に入るのだが、それはまた別の話。
 このような不安定な時期に製作されたレコードではあるのだが、演奏は抜群、ノリノリなのである。モンクというクセのあるピアニストと共演するのはそれなりに難しいものがあると思うのだけど、リズムは安定しているし、管楽器のソロもばっちりキメていて素晴らしい。
 オリジナル LP は全6曲入り(CD は別テイク3曲が追加されている)。(6) はジョニー・グリフィン作曲のスロー・ブルース。それ以外はモンク作曲のオリジナル。ものすごいアップテンポで演奏される (1), (5) も素晴らしいが、スロー・テンポの (3) はアレンジも良く、まったくダレずに盛り上がる。
 本セッションで共演したジョニー・グリフィンは、50年代後半を代表するハード・バップ系テナー奏者。翌年にはセロニアス・モンク・カルテットへ加入している。
 本作はモノラル盤、一部ステレオ盤、全曲ステレオ盤と何種類か出ているようだが、ステレオは音が極端に左右へ振り分けられているため、モノラル盤のほうが聴きやすいと感じる。現代の技術でリマスタリングすれば、もっと音質が向上すると思うのだが。