Miles Davis / 1969 Miles Festiva De Juan Pins

 1969年、マイルスは、ウェイン・ショーター以外のメンバーを総入替え。チック・コリアデイヴ・ホランドジャック・ディジョネットという力強いリズム・セクションを導入する。だが、スタジオではもっと大人数によるセッションを繰り返し行いつつも、この5人のみによる正式なアルバムはマイルスの生前には1枚も発表されないままであった。このため、このときのメンバー編成は 《ロスト・クインテット》 と呼ばれている。
 本アルバムは 《ロスト・クインテット》 がフランスのアンティーブで行われたジャズ・フェスティヴァルに出演した際のライヴ録音(2日間の演奏のうち1日目)を収録したもので、1993年にソニーから発売された。(20年前の CD だが、現在でも入手可能。)
 全7曲64分間収録されているが、すべての曲がメドレー風につながって演奏されている。4ビート、8ビート、フリー・ジャズと新旧さまざまなスタイルの曲がまざっているのが特徴だ。
 プロデューサーはテオ・マセロ。モノラル音源にリヴァーブなどの加工を施し、不自然にならない程度に立体的なサウンドになっている。演奏そのものも圧倒的だが、CD に収められた音量、音圧がものすごくて、初めて聴いたときは驚いたものである。
 マイルスもショーターも燃えている。チックのエレピはエフェクターの類を使っていないようだが、完全に歪んでいる。デイヴ・ホランドって、こんなにすごかったっけ? ジャック・ディジョネットはわりといつもこんな感じ。
 超興奮の名演奏なのであった。