Miles Davis / Live at The Fillmore East (March 7, 1970) It's About That Time
Live at The Fillmore East (March 7, 1970) It's About That Time
- アーティスト: Miles Davis
- 出版社/メーカー: Sony
- 発売日: 2001/08/22
- メディア: CD
- 購入: 1人 クリック: 5回
- この商品を含むブログ (5件) を見る
- 1970年3月7日録音。
- Miles Davis (tp), Wayne Shorter (ss, ts), Chick Corea (el-p), Dave Holland (b, el-b), Jack DeJohnette (ds), Airto Moreira (perc)
《フィルモア》というコンサート・ホールは二つ存在した。片方はニューヨークの 《フィルモア・イースト》、もう片方はサンフランシスコの 《フィルモア・ウェスト》 という名称だった。いずれもプロモーター、ビル・グラハムによって1968年に開設され、1971年に閉鎖されている。《フィルモア》は「ロックの殿堂」と呼ばれ、ジミ・ヘンドリックス、オールマン・ブラザーズ・バンド、ジェファーソン・エアプレイン、ジョン・レノン等々、当時の人気アーティストが毎晩ステージを賑わせていた。
本アルバムは、マイルスがフィルモア・イーストに初出演した1970年3月6〜7日のうち、2日目のステージの演奏を収録した2枚組ライヴ盤。以前からブートレッグが出回っていたらしいが、2001年にソニーから公式に発売された。
ロック専門のコンサート会場に、ジャズ・ミュージシャンが殴り込みをかけた、という話になるのだが、2日間のメイン・アクトはニール・ヤング&クレイジー・ホースである。マイルスは前座扱いだったのだ。*1 ニール・ヤングとは客層が違うんじゃないかと思うけれども、昔のロック・ファンはジャンルにこだわらずに何でも聴いたから、意外と平気だったのかもしれない。
さて、3月7日のステージは 1st セットと 2nd セットに分かれていて、それぞれ約45分が CD 1枚ずつに収録されている(このため、何曲か重複している)。メンバーは 《ロスト・クインテット》 にパーカッション奏者のアイアート・モレイラが加わった6人編成だが、69年のクインテットに比べると、デイヴ・ホランドはエレキ・ベースを弾いているし、全体にロック色が強い演奏になっていると思う。
CD 1-(1) はフェイド・インで始まって早々、ホランドのベースのものすごいリフにやられる。チック・コリアのエレピはリング・モジュレーターがかけられて、歪んだ音を出している。また、この日はウェイン・ショーターが参加した最後のステージだったとのこと。しばらくやる気のなさそうだったショーターも、今夜ばかりはと燃えているようだ。
CD 1-(3) は冒頭のテーマに、ものすごいブレイクがあって驚く。マイルスはハイトーンを連発して、ほとんど絶叫調だ。
CD 2 は前半にくらべて、かなり前衛的な演奏が続く。演奏終了後、司会者のビル・グラハムが "Miles Davis Quintet!!" と言っているのが聞こえるんだけど、一人足りないじゃないか。誰か死んだのか。(死んでない。)
*1:スティーヴ・ミラー・バンドの前座だったという説もある。もしかしたら3部構成だったのかもしれない。