Miles Davis / Black Beauty: Live at the Fillmore West
- アーティスト: マイルス・デイビス,スティーヴ・グロスマン,チック・コリア,デイヴ・ホランド,ジャック・ディジョネット,アイアート・モレイラ
- 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
- 発売日: 2005/10/19
- メディア: CD
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- 1970年4月10日録音。
- Miles Davis (tp), Steve Grossman (ss), Chick Corea (el-p), Dave Holland (b, el-b), Jack DeJohnette (ds), Airto Moreira (perc)
フィルモア・ウェスト(サンフランシスコ)におけるライヴ録音を収録した2枚組アルバム。オリジナル LP は1973年に日本のみ発表され(たぶん来日記念盤)、1997年にアメリカの CBS / Legacy レーベルからリマスター盤 CD が発売された。*1
CD のクレジットを見ると、録音年月日、参加ミュージシャンと Original Recordings Produced by Teo Macero と記載されている以外、録音スタッフなどオリジナル盤の音源に関する情報が不明のままである。日本で製作されたアルバムなので、日本人スタッフがかかわっているのは確かなようだが、よくわからない。中山康樹著 『マイルスを聴け!』には「ノーカット〜無編集」と書かれているが、これも他にソースがなく、本当にノーカットなのか不明である。(2枚の CD のそれぞれ冒頭の部分が変な始まり方なので、編集されている気がするのだが。)
なぜこんなことを長々と述べているかというと、本アルバムは他の作品にみられないユニークなミキシングが行われているからだ。トランペットの音が右から聞こえたり左から聞こえたりする。エレピやベースの音も急に左右にスイッチするときがある。この点を除けば、当時のライヴ録音としては音質は最高レベル。特にドラムの音はきわめてクリアだと思う。
評論家筋に評判の悪いアルバムのようだけれども、決して演奏は悪くない。マイルスのトランペットはこの時期の標準を上回る演奏だし、リズム隊も頑張っている。新加入のソプラノ・サックス奏者、スティーヴ・グロスマン(当時19歳)は、前任のウェイン・ショーターと比較されがちで不利な立場だが、どちらかというとジョン・コルトレーンの影響を強く受けている演奏で、ひたすら激しく吹きまくる。一方、チック・コリアは他のソリストなどおかまいなしに、マイペースでエレピの音を歪ませている。
オリジナル LP には曲名の詳細表示がなく、各面がパート1、パート2……と記載されていたが、CD は全9曲の曲名が書かれ、すべてつながって演奏されている。CD 1-(2) "Miles Runs The Voodoo Down" はこの曲のベスト・テイクだと思う。
なお、カヴァー写真は写真家、内藤忠行氏によるもの。かっこいいね。