ジェネシス/侵入


 自分たちはいらないと言ったのだが、それぞれの親が最低限の器材を買う足しにしろと百ポンドずつ寄付してくれた。それで買ったメインの器材はトニー・バンクス用のハモンド・オルガンだった。
 それから五か月というもの、バンドは日に十五時間も練習した。……


 スペンサー・ブライト『ピーター・ガブリエル(正伝)』(音楽之友社

  • 親の金で楽器を買うジェネシス! ファースト・アルバム『創世記』を発表した後のメンバーはまだ10代だったが、アルバイトなんかしない。さすが英国の中産階級である。
  • 1日15時間の練習の成果が、第2作『侵入』だ。曲は6〜9分と長大になり、怪しげな雰囲気に満ちている。プログレッシヴ・ロックの始まりである。
  • 2作目にして、3人目のドラマー、ジョン・メイヒューが参加しているが、リズムが重たくて不安定。この後に参加するのがフィル・コリンズである。
  • 上の動画はアルバム最後の曲、「ナイフ」("The Knife")。ハモンド・オルガンがかっこよく響く、初期の代表的なロック・ナンバーだ。
  • 他の曲は、12弦アコースティック・ギターを中心とした爽やかなものが多いが、前作とはうって変わって独創的なメロディが揃っている。


Trespass

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