「チュニジアの夜」聴きくらべ

 モダン・ジャズの名曲 「チュニジアの夜」(D・ガレスピー&F・パパレリ作曲)の名演奏をトランペット奏者別に聴きくらべてみる。

ディジー・ガレスピー


 Dizzy Gillespie & His Orchestra 名義で発表された、作曲者自身による演奏。ミステリアスなイントロ、印象的なメロディ、ソロの出だしのかっこいいブレイク、エンディングのトランペットによるカデンツァ(ソロ)と、この曲の聴きどころがわずか3分の演奏にぎっちり詰め込まれた名演である。
 録音年代もメンバーも不明(たぶん1940年代だと思う)だが、iTunes Store からダウンロードすることが出来る。

マイルス・デイヴィス


 チャーリー・パーカー・セプテットによる演奏で、1946年3月28日の録音。アルト・サックスはパーカー、トランペットは当時19歳のマイルス・デイヴィスである。この演奏のキモはなんといっても、1:20 から始まるパーカーのブレイク・ソロだろう。続くマイルスもなかなか頑張っている。
 上の YouTube 音源は途中で切れてしまっているのだけど、ノーカット版はこちらで聴くことができる。もっとも、カットされたギター・ソロのあとはテーマに戻ってフェイドアウトなのだが。(チャーリー・パーカーのレコードは、エンディングがいい加減なのが多いのだ。)
 この名演奏は以下の CD に収録されている。

クリフォード・ブラウン


 アート・ブレイキークインテットによる1954年2月のライヴ演奏。トランペットの天才クリフォード・ブラウン(1930-1956)の熱い演奏が聴ける名盤である。LP 時代の録音なので、演奏時間が長いのが特徴だ。(この後さらに長くなって、ブレイキーの 「チュニジア」 は15分を超えるものもある。)
 ブラウンは早世した人なのでレコードが少ないのだが、これは間違いなく最高傑作だと思う。

A Night at Birdland, Vol.1

A Night at Birdland, Vol.1

 同じ内容の CD でジャケット違いが何種類もあったり、似たようなタイトルの違う CD が出ていたりするのでご注意。

リー・モーガン


 アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズによる1960年8月のスタジオ録音盤。ラテン打楽器の長いイントロに続いて、全員が火の玉になったような熱演を繰り広げている。ソロ先発のテナー・サックスは当時新人だったウェイン・ショーター(1933-)。トランペットは当時22歳のリー・モーガン(1938-1972)である。カデンツァも二人仲良く順番に吹いている。

チュニジアの夜

チュニジアの夜

 他の曲はメンバーのオリジナル。良い曲が揃っていて、飽きのこない名盤だと思う。