Miles Davis / Birdland 1951

Birdland 1951 (Reissue)

Birdland 1951 (Reissue)

  • (1)〜(3) …… 1951年6月2日録音。Miles Davis (tp), J. J. Johnson (tb), Sonny Rollins (ts), Kenny Drew (p), Tommy Potter (b), Art Blakey (ds)
  • (4)〜(7) …… 1951年2月17日録音。メンバー同上。
  • (8)〜(10) …… 1951年9月29日録音。Miles Davis (tp), Eddie "Lockjaw" Davis, Big Nick Nicholas (ts), Billy Taylor (p), Charles Mingus (b), Art Blakey (ds)

 2004年にブルー・ノート・レーベルから CD が発売され、全貌が初めて公開されたライヴ盤。ニューヨークのジャズ・クラブ 《バードランド》 における演奏のラジオ放送用音源で、1951年の3回のセッションから収録されたアルバムである。
 大半はブートレッグとして以前から出回っていたらしいのだが、51年2月録音の4曲はこれが初公開とのこと。
 元々音質が悪いのはしかたないのだが、それでもノイズ・リダクションが施されていて、さらにイコライジング処理によって低音、特にバスドラムの音が鳴るようになっている。このため、かなり音量を上げても鑑賞に耐える作りになっているのが特徴といえよう。(音源は古いけれども、21世紀的な音なのである。しかし、こういった音作りは20年後に聴いたら、逆に古く感じるかもしれない。)
 アップテンポの曲が多いのもあって、演奏はノリノリだ。全ての曲に参加しているアート・ブレイキーのドラムが全体を引っ張っていて、特にマイルスのソロのときは、トランペットとドラムの一騎打ちとなる。まるで、ジョン・コルトレーンエルヴィン・ジョーンズの「インプレッションズ」みたいな対決なのだ。
 3つのセッションではいずれも "Move" が演奏されている。『クールの誕生』の冒頭でふわふわと演奏されていた曲だが、こちらのライヴ・ヴァージョンはまるっきり違う熱い演奏が繰り広げられている。同じ51年録音の "Dig" も名盤とされているけれども、本作にくらべたらあんなのおばあちゃんみたいなもんである。
 本アルバムはマイルスの初期のライヴ盤の中では屈指の名演奏といってよいだろう。爆音で聴きたいジャズである。