キング・クリムゾン/ヴルーム


  • 1994年発表のミニ・アルバム。"VROOOM"。
  • メンバーは、ロバート・フリップ(g)、エイドリアン・ブリュー(g, vo)、トレイ・ガン(stick)、トニー・レヴィン(b, stick)、パット・マステロット(ds)、ビル・ブラッフォード(ds)。
  • 10年ぶりに活動を再開した第5期キング・クリムゾンは、ギター×2、スティック×2、ドラム×2というユニークな編成で、《ダブル・トリオ》 と呼ばれる。
  • 1984年に第4期クリムゾンが活動停止した後、ロバート・フリップは様々なプロジェクトに参加したり、ユニット名義でアルバムを出したり、いろいろやっていたのだがいずれも振るわず。一方、1989年から始まったクリムゾンの旧作 CD のリマスター盤発売(その後10年置きにリマスター盤を出している)、ベスト盤や CD-BOX セットの発売など、コンパクト・ディスクの普及に伴う長時間演奏曲目の再評価の機運に乗って、商業的な活動を再開していた。このような CD 化の波はイエスジェネシス等のプログレ・バンド同様に、90年代におけるプログレッシヴ・ロックの再評価をもたらしたのである。そして、そこへ登場したのが、この第5期キング・クリムゾンなのであった。
  • 本作は、6曲入り31分のミニ・アルバムである。発売当時は発表されていなかった(あるいは話題にならなかった)のだが、"VROOOM" は、翌年発表のフル・アルバム "Thrak" の予告編もしくはリハーサルとして制作された企画モノであり、6曲中4曲すなわち (1)、(2)、(4)、(6) が "Thrak" と重複している。もっとも、すべての曲が新しく録音しなおされて、かなり違った雰囲気になっているのだけれど。
  • 本作は1発録りのスタジオ・ライヴなのだそうだ。ギター、ベース、ドラムが2人ずつという編成だが、どちらかというと 《ダブル・トリオ》 の名にふさわしく、二つのバンドが同時に(あるいは微妙にずらしながら)演奏しているように聞こえる。この編成のクリムゾンは数枚のアルバムを発表しているが、本作の演奏が一番 《ダブル・トリオ》 の編成を生かしていたものになっていると思う。
  • 上の動画は、1994年10月のブエノスアイレスでのライヴ演奏から、"VROOOM"。かつての名曲「レッド」を思わせるヘヴィーなロック・ナンバーである。ビル・ブラッフォード(ステージ上手)のドラムがかっこいい。


Vrooom

Vrooom