キング・クリムゾン/スラック
- 1995年発表。"THRAK"。
- メンバーは、ロバート・フリップ(g, soundscapes, mellotron)、エイドリアン・ブリュー(g, vo)、トレイ・ガン(stick, vo)、トニー・レヴィン(b, vo)、パット・マステロット(ds)、ビル・ブラッフォード(ds)。
- "THRAK" は前年に発表されたミニ・アルバム "VROOOM" に続く 《ダブル・トリオ》 キング・クリムゾンによるスタジオ録音のフル・アルバムである。
- 暴力的なイメージの "VROOOM" と同じメンバーであり楽曲も重複しているのだが、スタジオで時間をかけて制作されただけのことはあり、きっちりと作りこまれた印象のアルバムである。重複曲も全体に音が厚くなっていると思う。
- その反面、《ダブル・トリオ》 という編成を十分に生かしているとは言えない面があり、特にトレイ・ガンがどのパートを演奏しているのかわからなかったりする。
- ロバート・フリップは、当時のバンドのことを「メタル・クリムゾン」と呼んでいたらしい。ディストーションを多用した弦楽器の音は確かにヘヴィーでメタリックなのだが、もちろんいわゆるヘヴィー・メタル・ロックとは全く異なる音楽である。また、90年代以降のクリムゾンはディストーションなどのエフェクターを多用しているにもかかわらず、全体のサウンドがクリアになっている特徴が感じられる。
- また、エイドリアン・ブリューのヴォーカルも成長が著しい。80年代前半(第4期)のクリムゾン時代は、デヴィッド・バーンを思わせるニュー・ウェイヴ風ヘタウマ・ヴォーカルだったのだが、歌唱法が大きく変化して、ヘヴィーなロック・ナンバーから柔らかなバラード曲まで、丁寧に歌い上げるようになっている。(彼のヴォーカルはだんだんジョン・レノンに似てきたようだ。)複雑なギターを弾きながら、あれを歌うのだからたいしたものである。
- 上の映像は、"Sex Sleep Eat Drink Dream"。クリムゾン独特の「気持ち悪いロックンロール」は健在である。
- アーティスト: King Crimson
- 出版社/メーカー: Discipline Us
- 発売日: 2006/03/14
- メディア: CD
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