キング・クリムゾン/アースバウンド


  • 1972年発表のライヴ・アルバム。"Earthbound"。
  • メンバーは、ロバート・フリップ(g)、メル・コリンズ(sax, mellotron)、ボズ(b, vo)、イアン・ウォーレス(ds)。
  • 1972年2〜3月のアメリカ・ツアーの時の演奏を収録したライヴ盤だが、カセットテープにモノラル録音された音質最悪、ブートレッグ以下のアルバムである。当初は、イギリスのみ廉価盤で発売され(僕は輸入盤で聴いた)、1980年代に日本でもLP発売、2002年にようやく CD 化された。*1
  • 5曲収録。(1) はのちに何十回も別バージョンが出る名曲の最も過激な演奏。(2) と (4) はプログレとは無関係な R&B 風ジャム・セッション。(3) は割と原曲に近いがかなり激しい。(5) は15分もあるフリー・ジャズ風の曲で、後半のドラム・ソロがエフェクト処理されて歯医者のドリルみたいな不快な音がする。*2
  • アマゾンのレビューを見ると、だいたい「劣悪な音質も含めて、凶暴な名演奏」というようなことが書かれているが、70年代当時のカセットテープ音源によるブートレッグの音質はおよそこんな感じのものであって、例えばクイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」だってこんな風に凶暴に聞こえるのだから、音質の悪さを褒めるのは見当違いである。
  • 上の動画は (1) "21st Century Schizoid Man"。YouTube にアップロードした人のコメント*3 によると、アナログ・レコードが音源になっているとのことだが、CD の音質も似たようなものである。演奏内容は、これが前作 "Islands" と同じメンバーかと思うほど、暴力的に荒々しく、ぶっ飛んでいる。
  • 同時期同メンバーによる高音質のライヴ盤 "Ladies Of The Road" が2002年に発表されたのだが、そちらの演奏はまったくつまらない(特にボズのヴォーカルが下手)ので、"Earthbound" にもそれなりに価値があるのだろう。ただ、僕はどちらも好きではない。


Earthbound

Earthbound

*1:2002年リマスター盤は、モノラル音源をステレオ・リマスターしているため、音が左右にブレて聞こえる箇所がある。カセットテープ特有のヒスノイズは軽減されているが音質は劣悪なまま。ただし音量がやたらとでかい。

*2: (5) "Groon" の原曲は、1970年のシングル "Cat Food" のB面に収録された3分半の曲で、ロバート・フリップ、ピーター・ジャイルズ、マイケル・ジャイルズの3人による演奏だった。このスタジオ・バージョンは、オムニバス盤 "A Young Person's Guide To King Crimson"、"Frame By Frame" に収録されている。

*3:動画のジャケットにはジョン・ウェットンビル・ブラッフォードが掲載されているが、彼らはこのときのメンバーではない。