Thelonious Monk Quartet with John Coltrane / Complete Live At The Five Spot 1958

Complete Live At The Five Spot 1958

Complete Live At The Five Spot 1958

 ジョン・コルトレーンが参加したモンク・カルテットのライヴ盤というのは、当初全く出ていなくて、なかば伝説化していたのだが、ファイヴ・スポット・カフェにおける私家版録音が1993年に発表され、ようやく陽の目を見た。だが、私家版録音のあまりの音質の悪さに、演奏自体への評価が行われることのないまま、10年以上が過ぎたのである。
 本アルバムは1993年に発表された音源に2曲を追加し、2009年にイギリスの Gambit レーベルからブートレッグとして発売されたもの。(1993年盤はブルー・ノートから発売された公式盤だったのに。)音質が大幅に向上し、ベースとドラムの音がちゃんと聞こえるようになったので、買い換え必須。とはいうものの、元の音質は良くないので、資料的価値以上のものではないと思う。
 プライベート録音を行ったのは、ジョン・コルトレーンの最初の妻ネイーマ。当時のテープレコーダーは小型のトランクぐらいの大きさがある。そのレコーダーにマイクロフォンをつないで録音するのだ。ジャズ・クラブの客席で、マイクを握りしめながら夫の演奏を見つめるネイーマの姿を想像すると、複雑な気分になる。(マイクに何かが触れてガサガサという音がそのまま収録されている。)
 1993年盤には「1957年夏録音」と記載されていたが、2009年盤には「1958年9月11日録音」と明記されている。コルトレーンが参加したモンク・カルテットがファイヴ・スポットに連続出演していたのは57年後半といわれているが、本作は再会セッションということになるのだろうか。
 全7曲入り。2009年に追加された (6), (7) は1957年録音という説もあり、そのとおりであればドラムはシャドウ・ウィルソン(ジャケット写真中央のドラマー)かもしれない。
 とにかく、熱いライヴである。