谷崎潤一郎 『一と房の髪』
大正15年発表の短編。横浜の外国人用アパートを舞台に、関東大震災当日の出来事が語られる。
ヒロインはロシア革命後、日本に亡命した貴族の夫人・カティンカ。男たちは彼女のとりまきの混血児たちである。(語り手のディックは彼らの一人である。)
地震のため煉瓦作りのアパートは崩壊、近くに火の手が迫っているにも関わらず、彼らは女を縛って心中しようとしたり、決闘を始めたりして、相当めちゃくちゃだ。後半、何度もどんでん返しがあって、その無茶苦茶な展開がそれなりに面白い。
最後は 『卍』 (昭和3年発表)とほぼ同じ結末だった。
- 作者: 谷崎潤一郎,千葉俊二
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1998/08/18
- メディア: 文庫
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