Miles Davis / On The Corner

ON THE CORNER

ON THE CORNER

  • 1972年6月1, 6日、7月7日録音。
  • Miles Davis (tp, org), Dave Liebman (ss), Carlos Garnett (ss, ts), Bennie Maupin (b-cl), Cedric Lawson (synth), Lonnie Liston Smith (org), Chick Corea (el-p), Herbie Hancock (el-p, synth), Harold "Ivory" Williams (org, synth), Reggie Lucas, John Mclaughlin, David Creamer (g), Paul Buckmaster (el-cello), Michael Henderson (el-b), Al Foster, Jack DeJohnette, Billy Hart (ds), James "Mtume" Foreman, Don Alias (perc), Colin Walcott, Khalil Balakrishna (el-sitar), Badal Roy (tabla)

 1972年のスタジオ録音アルバム。1971年にはマイルスの公式録音がないため(ライヴのブートレッグはたくさん出ている)、"Live-Evil" 以来1年半ぶりの作品ということになる。発表当初のレコードには、参加メンバーの記載がなく、いろいろ謎に包まれた作品なのだが、判明しているだけで20人以上のミュージシャンが加わっているようだ。もっとも半分以上、誰がどのパートを演奏しているのかさっぱりわからないのだが。
 全4曲入り。ただし、(2)〜(4) は同じ曲の別ヴァージョンであり、実質的に長大な二つの曲で構成されている。ベース、ドラム、パーカッションなどリズム楽器の音が大きく、管楽器等のソロ・パートの音が埋もれてしまうようなミキシングが行われている。また、マイルスのトランペットはすべてワウワウ・ペダルが用いられていて、フレーズの輪郭がつかみにくい。
 マイルスは "Live-Evil" あたりからワウワウを使い始めているのだが、本アルバム以降になると音が潰れすぎていて、こういうのはちっとも好きになれない。だが、本作のききどころはメンバーのソロではなく、全体のサウンド、醸し出される雰囲気なのだ。ハマる、というか、病みつきになる音楽である。
 2000年発表のリマスター盤では、パーカッションの音を聞き分けられる程度に音質が向上したが、それ以外は変わらない。あいかわらず、謎の多いアルバムである。