Miles Davis / Circle In The Round

Circle in the Round

Circle in the Round

 マイルスが体調不良のため活動を停止していた1979年に 《未発表録音集》 として発売されたオムニバス盤。1955〜1970年に録音された未発表曲、未発表テイクを10曲収録した2枚組 CD である。のちに CD BOX に収録されたり、他の CD のボーナス・トラックとして発表されたりしたため、このアルバムでしか聞くことができない曲はなくなってしまったようだが、廃盤 CD の中では本作は比較的簡単に入手できる(国内紙ジャケット盤は今でも CD ショップで見かける)。
 とはいうものの、他の項で触れた曲も多いので、3曲だけレビューを書いておくことにしたい。
 CD 1-(4) はリズム・ギターにジョー・ベックを加えたセクステットによる演奏。12/8拍子のリズムが延々と26分間続く単調な曲である。途中に何ヶ所か明らかに編集した形跡があるので、おそらく複数のテイクをつないで長く見せかけているのだろう。ハービー・ハンコックが弾いているのはチェレスタという鍵盤楽器で、オルゴールの音に似ている。
 CD2-(5) は "Bitches Brew" のラストに収められていた曲のアコースティック・ヴァージョン。こちらのヴァージョンのほうがメロディがわかりやすく、整っている感じがするが、例のクライマックスがない。のちにクライマックスのパートが追加されて、69〜70年頃のライヴで頻繁に演奏されるようになったが、これはその原型である。
 CD2-(6) はデヴィッド・クロスビー作曲。クロスビー・スティルス&ナッシュのカヴァー曲である。管楽器は原曲のコーラスのアレンジをほとんどそのまま演奏しているのだが、バックにシタールが加わってすっかりインド音楽風になっている。(この時期の演奏で、僕はこれが一番好き。)