Miles Davis / Sorcerer
- アーティスト: Miles Davis
- 出版社/メーカー: SBMK
- 発売日: 2008/04/29
- メディア: CD
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- (1)〜(6), (8) …… 1967年5月16〜24日録音(ニューヨーク)。Miles Davis (tp), Wayne Shorter (ts), Herbie Hancock (p), Ron Carter (b), Tony Williams (ds)
- (9) …… 1967年5月9日録音(ロスアンゼルス)。Miles Davis (tp), Wayne Shorter (ts), Herbie Hancock (p), Buster Williams (b), Tony Williams (ds)
- (7) …… 1962年8月21日録音(ニューヨーク)。Bob Dorough (vo), Miles Davis (tp), Wayne Shorter (ts), Frank Rehak (tb), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds), Willie Bobo (perc), Gil Evans (arr.)
《黄金のクインテット》 によるスタジオ録音、第3作。
オリジナル LP は全7曲入り。(1)〜(6) が1967年の録音で、(1), (3), (5), (6) がウェイン・ショーター作曲、(2) がトニー・ウィリアムス作曲、(5) がハービー・ハンコック作曲のオリジナル。ついにマイルスは1曲も作曲していない。また、(2) はマイルス不参加のカルテットによる演奏である。
(7) は1962年録音で、ギル・エヴァンス作・編曲。ボブ・ドローという白人歌手をフィーチャーした2分に満たないヴォーカル曲だが、マイルスとショーターがバックでハーモニーをつけているだけの蛇足的な作品だ。(二人の初共演曲らしい。)
(8) と (9) は1998年リミックス盤で追加された。(8) は (3) の別テイク。(9) は (5) よりも1週間前に録音された別テイクで、ロン・カーターの代わりにバスター・ウィリアムスがベースを弾いている。
さて、本アルバムは1998年リミックス盤とそれ以前の旧ヴァージョンの間に決定的な違いがある。新盤は録音時の4トラック・テープをミキシングする段階から、完全に音を作り直しているのだ。旧盤ではステレオの左チャンネルにトランペットとベース、左寄りセンターにドラム、右にサックスとピアノという風に、左右にきっぱりと楽器が分かれ(中央から音が出ない)、深いリヴァーブがかけられて、非常に曇った感じのサウンドになっていた(極端なミキシングのようだが、当時としては普通のやり方である)。ところが、新盤ではピアノが左寄りになっている以外は、ほとんどの楽器がセンターから鳴り響いている。ドラムもステレオになっている。リヴァーブは浅くなり、クリアなサウンドになった。まるで印象の違うアルバムになっている。どちらかというと、"E.S.P." や "Miles Smiles" に近い音、というより、これら2枚の音に近づけたのではないかと思われる。個人的に、新盤のほうが聴きやすいと思うけれども、どうだろうか。
新盤・旧盤ともに、ベースの音は高音域がカットされて、やわらかい音になっている。(旧盤はベースの音量が物足りない。)
(9) は、この曲のみ LA 録音のためか、これまた音がかなり違う。ピアノの音が軽くて、おもちゃのピアノみたいな音がする。ベースは力強いピチカートで演奏されているため高音域まで鳴っているが、バランスが小さめでよく聞こえない部分がある。(このテイクは、1981年発表のオムニバス盤 "Directions" に収録されているヴァージョンのほうがベースがゴリゴリと硬い音がする。)演奏自体は (5) のほうがかっこいいかな。
ちなみに、ジャケットに写っている女性は、女優シシリー・タイソン。マイルスは彼女と1981年に結婚した。