Miles Davis / Nefertiti

Nefertiti

Nefertiti

 マイルスの 《黄金のクインテット》 第4作。このメンバーによる最後のフル・アルバムである。本アルバムは、前作 "Sorcerer" の1ヶ月後、67年6月から7月にかけてニューヨークのスタジオで録音された。
 オリジナル LP は全6曲入り。(1), (2), (6) はウェイン・ショーター作曲。(3) はトニー・ウィリアムス作曲。(4) と (5) はハービー・ハンコック作曲のオリジナル。
 ショーター作の3曲はいずれもテーマを何度も繰り返す構成になっている。特に (1) はトランペットとテナーがユニゾンでメロディをひたすら繰り返すのみで、ソロ・パートがなく、きわめて異様な楽曲である。それだけに、一度聴くと頭の中を一日中、このメロディが流れ続けるような中毒性を持ち合わせている。
 (3) と (4) では前作までと同様、ハンコックのピアノはテーマとソロ以外、伴奏パートには登場しない。ソロもほとんど単音で演奏されていて、管楽器のような用い方になっている。
 (5) はかなり複雑なアレンジの曲で、約3分という短い演奏時間にいろんなものをぎっしり詰め込んだような楽曲である。ハービーは68年に、この曲をまったく違ったアレンジで再演(アルバム "Speak Like A Child" 収録)しているが、音質はこちらのほうが断然良い。
 1998年リマスター盤には4曲が追加されている。(7) と (8) は (3) の別テイクで、いずれもテンポがやや速め。(9) は (4) の別テイク。(10) は (6) の別テイクで、スロー・ヴァージョン。
 前作同様、同リマスター盤は完全に音を作り直していて迫力満点。特にベースとドラムの音がパワフルになっている。