ジェネシス/眩惑のブロードウェイ
- 1974年発表の2枚組。"The Lamb Lies Down On Broadway"。上の動画はアルバム冒頭のタイトル曲。
- プエルトリコ人の少年《レエル》を主人公とする物語をテーマにした異色のコンセプト・アルバム。ザ・フーの "Tommy" (1969年)とピンク・フロイドの "The Wall" (1979年)の中間に位置づけられる作品で、ロックオペラに近いものである。(最初からミュージカル作品として作られた『ヘアー』、『ジーザス・クライスト・スーパースター』にも隣接している。)
- 前掲の諸作品はすべて舞台化、映画化などされているが、ジェネシスのこの作品だけは(彼ら自身による全曲ライヴ演奏はあるものの)ビジュアル化されていない。
- 94分、全23曲とほとんどが短い曲だがメドレーもしくはクロスフェイドによって、つながって演奏されている。
- 前作以前と比べて、ギター、ベースのリフの上に歌を乗せている曲が多く、ロック色が強調されている。また、キーボードのアレンジは全作品中でも最も複雑で聴きごたえ十分である。
- 歌唱、バンド演奏ともに優れた楽曲が揃っているものの、さすがに冗長な部分もあり、後半は削っても良かったのではないかと思う。
「眩惑のブロードウェイ」は、バンド内の不和と溝を反映し、ピーターはスターに見えたし、他のメンバーは精彩を欠いていた。これ以上アルバムを作っても創作面で口を出すことはできないとピーターには分かっていたのだ。その上、父親になることで加わるプレッシャー、責任にどう対処していいか分からなかったピーターは今すぐにでもやめたかったのである。
スペンサー・ブライト『ピーター・ガブリエル(正伝)』(音楽之友社)
- 1975年、本作発表後半年続いたツアーの終了後、ピーター・ガブリエルはジェネシスを脱退。
- 1977年に発表されたピーターの最初のソロ・アルバムで、彼はこんな歌を歌っている。
So I went from day to day
Tho' my life was in a rut
'Till I thought of what I'd say
Which connection I should cutI was feeling part of the scenery
I walked right out of the machinery
だから、くる日もくる日もそこにいった
型にはまった生活だったけど
言うべきことが頭に浮かばなくて
どのしがらみを断てばいいか分かるまで
景色の一部になった気分だった
僕は歯車から抜けて歩きだしたんだ
「ソルスベリー・ヒル」 ピーター・ガブリエル、一九七六年 (岡山 徹訳)
- アーティスト: Genesis
- 出版社/メーカー: EMI Europe Generic
- 発売日: 2009/03/05
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