Bill Evans / Conversations With Myself

自己との対話+2

自己との対話+2

 ピアノの多重録音で演奏されたコンセプト・アルバムの第1作。エヴァンスは本作によってグラミー賞を獲得、60年代の彼の作品の中では最も売れたレコードだったらしい。
 一人多重録音というのは当時、最新の発想、技術だったに違いない。しかし、音楽としてたのしめる内容かというと疑問が多い。ピアノの音が多すぎて、音がぶつかり合ってしまうからである。全般にアレンジしすぎの感も否めない。セロニアス・モンクの作品を3曲演奏しているが、演奏的にはモンクの影響はまったく感じられない。(むしろ、前作 "The Solo Sessions" のほうがモンクに近い雰囲気があると思う。)
 このような実験的作品であるにもかかわらず、エヴァンスは一人多重録音アルバムを3作も発表した。2作目は未聴だが、3作目 "New Conversation" になると、だいぶ聴きやすくなっている。ただし、ジャズとは違った世界へ行ってしまったような気がするのだけれど。