Thelonious Monk / Monk's Blues

Monk's Blues

Monk's Blues

  • 1968年11月19〜20日録音。
  • Thelonious Monk (p), Ernie Small, Tom Scott, Gene Cipriano, Ernie Watts, Charlie Rouse (sax), Robert Bryant, Fredrick Hill, Conte Candoli, Robert Brookmeyer (tp), William Byers, Mike Wimberly (tb), Howard Roberts (g), Larry Gales (b), Ben Riley (ds), John Guerin (perc)

 セロニアス・モンクにとってコロンビア・レーベル最後のアルバム。ビッグ・バンド演奏作品である。
 モンクの諸作品の中で、もしかしたら唯一の駄作と呼ぶべきアルバムかもしれない。冒頭の10秒くらいを聴いただけで、「なんだこれ!?」と感じてしまうような、コレジャナイ感に満ちた音楽なのだ。4ビート曲が多いにも関わらず、決してモダン・ジャズではない。ジャンルとしてはイージー・リスニングに入るのだろうけれども、ではイージー・リスニング音楽としてはどうかというと、ちっとも良くないのである。ホーン・セクションの過剰なリヴァーブ。やたらと平坦なピアノの音。モンクも、やる気が出なかったのではないだろうか。
 アレンジを担当したのは、オリヴァー・ネルソン。怪作『ブルースの真実』("The Blues and the Abstract Truth"、1961年)で有名な人物である。本作にも共通するのだけれども、「ブルース」を謳っているにもかかわらず、まったくブルースとは対極的で、悪趣味なほど洗練された音楽を作ったアレンジャーなのだ。
 オリジナル LP は全10曲入り。CD は (10) "Blue Monk" が追加されている。(11) "'Round About Midnight" はピアノ・ソロ曲で、冒頭にテオ・マセロのトークバックが入っているヴァージョンと入っていないヴァージョンがある。
 CD の11曲のうち、9曲はモンク作曲の旧レパートリー。残り2曲は、テオ・マセロ作曲(!)のオリジナルである。テオ作曲の中で、(6) はなんと8ビートのジャズ・ロックだ。ユニークといえばユニークだが、モンクの音楽としてはハズレとしかいいようがないのである。