チャンドラー 『さらば愛しき女よ』

 私立探偵フィリップ・マーロウが登場する小説は、実はソフトボイルドである。
強調部は引用者による。

I had had two cups of black coffee, then I had had a drink, then I had had two soft-boiled eggs and a slice of toast broken into them, then some more black coffee with brandy laced in it.


 FAREWELL MY LOVELY by Raymond Chandler

 私はブラックのコーヒーを二杯飲んでから、ウィスキーを一杯飲み、半熟の卵を二つとトーストを一枚砕いて食べ、それから、こんどはコーヒーにブランディを入れて飲んだ。


 レイモンド・チャンドラーさらば愛しき女よ』 28 (清水俊二訳)

 フィリップ・マーロウは卵を半熟で食べる。原文を読むと、トーストをちぎって半熟卵にひたして食べていることがわかる。
 これはこれでおいしそうだが、胃が弱いのかというと、そういうわけでもなさそうである。