ル=グウィン 『ゲド戦記5 ドラゴンフライ アースシーの五つの物語』

ドラゴンフライ アースシーの五つの物語―ゲド戦記〈5〉 (岩波少年文庫)

ドラゴンフライ アースシーの五つの物語―ゲド戦記〈5〉 (岩波少年文庫)

  • 原著は2001年3月に刊行された中短編集。翻訳版は以前、『ゲド戦記外伝』 という題で別巻扱いになっていたが、岩波少年文庫版では第5巻になっている。『アースシーの風』 のほうが執筆、原著刊行ともにあとなので、そちらを第6巻とするのが正解。したがって、当ブログでは 『ドラゴンフライ……』 を5と呼ぶことにする。
  • ル=グウィンゲド戦記を書くとき、現実の世界では戦争が起る。
    • 1〜3が書かれたのはベトナム戦争中だった。(これは今読むと、ああ、そういう時代の話だよな、というのが理解できる。)
    • 4が発表された1990年、イラクによるクウェート侵攻が起った。この事件がきっかけとなって、翌年、湾岸戦争が勃発。
    • 5と6が発表されたのは2001年。特に、6が刊行されたのは9月13日である。その二日前に、911テロが起きている。
    • 偶然にしては出来過ぎている気がする。でも、これは僕のこじつけなのかもしれない。なにしろ世界のどこかで毎年戦争は起きているのだから。
  • 口絵の地図は1と同じもの。ご丁寧に作者の署名入りだが、この地図はほとんど役に立たない。
  • 5でもヤード・ポンド法が用いられている。結局、メートル法は2だけのようだ。
  • 収録作品は様々な年代を舞台としており、地理的な広がりよりも、どちらかというとアースシーの歴史に焦点が当てられている。
  • そして、今までに例を見ないのは、作者がノリノリになって書いているという事実である。