島崎藤村 『新生 前編』

新生 (前編) (岩波文庫)

新生 (前編) (岩波文庫)

 長編小説 『新生』 (大正7〜8年発表)にはいくつかのバージョンが存在するようだ。手元の本だけでも、以下の2種類ある。

  1. 『新生』 岩波文庫(2分冊)
    • 前編
      • 序の章 一から五まで
      • 第一部 一から百三十まで
    • 後編
      • 第二部 一から百四十まで
    • 『寝覚』 付記
  2. 『新生』 『筑摩現代文学大系8 島崎藤村集(一)』 筑摩書房
    • 序の章 (一)から(五)まで
    • 前篇 (一)から(百三十五)まで
    • 後篇 (一)から(百四十一)まで

 やたらと細かい章立てだが、これは新聞連載の1回分に相当するものだろう。(1章の長さは文庫本で2ページ弱。夏目漱石の小説も、こういう構成が多い。)しかし、岩波と筑摩では、小説の長さが微妙に違っている。どちらが決定版なのかよくわからないのだけど、岩波のほうは途中の章が抜けていたり、結末部分が数行カットされていたりしている。
 「『寝覚』 付記」 とは、昭和13年、「底本版藤村文庫」 に 『新生』 の前篇のみが 『寝覚(ねざめ)』 と改題されて収録された際、書かれた作者あと書きである。(岩波文庫巻末解説参照。)
 また、青空文庫新潮文庫を底本とする)を見ると、第一部・第二部がそれぞれ第一巻・第二巻と題されていて、「『寝覚』 付記」 が第一巻の末尾に付されている。
 例によって、少しずつ読みながら感想を記して行こうかと思っているが、当ブログでは特に断りのない限り、岩波文庫版を引用することにしたい。