続・鬼

鬼 - 蟹亭奇譚の続き。
 持病の関節炎が疼きはじめた。仕事を早退し、帰りの電車では優先席に座り、ほうほうの体でかかりつけの医者の元へたどり着く。医師は患部の足首へ注射する。待合室まで響く僕の叫び声が聞こえる。
 雨の中、痛む足をひきずりながら帰宅し、着替えもそこそこに布団をかぶる。そんな僕を猫たちが見つめている。
 夜、風呂に入るとようやく落ち着いてきた。猫のミイが腫れ上がった僕の足首をぺろぺろと舐めている。
 鏡の中の鬼は、いつの間にかどこかへ消えていた。