『谷崎潤一郎随筆集』

 以前、古書店太宰治 『晩年』(終戦後の復刻本)を購入したときに、同時に買った本。そのとき、店の親爺が2冊を1冊分の値段で売ってくれたので、この本は実質タダである。
 内容は、最初期のものから最晩年のものまで寄せ集めた随筆のアンソロジーで、『陰翳礼讃』 ほか2編、分量でいうと約半分は中公文庫とダブっている。

 冒頭に収められている 『「門」を評す』 は、明治43年に新聞連載された夏目漱石 『門』 の書評。谷崎24歳のときの文章である。なんたって、一人称が 《僕》 である。若い。生意気である。そして、素敵だ。

谷崎潤一郎随筆集 (岩波文庫 緑 55-7)

谷崎潤一郎随筆集 (岩波文庫 緑 55-7)