谷崎潤一郎 『人魚の嘆き・魔術師』
大正6年に発表された谷崎の作品集は“大人の絵本”だった。
「人魚の嘆き」
退屈な毎日を送る南京の貴公子が、地中海からやって来た(白人の)人魚に恋をする話。
難解な漢語が多いのに、すらすら読める不思議な文体が魅力である。
「魔術師」
浅草六区を思わせるサイケデリックで猥雑な街区(まち)のファンタジー。
>江戸川乱歩の 『人間豹』に、本作そのままのイメージの浅草六区が登場する。
美しい挿絵は、水島 爾保布(みずしま におう) という画家によるもの。
ビアズリーの 『サロメ』 の挿絵にそっくりだ。
- 作者: 谷崎潤一郎
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1978/03/10
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 7回
- この商品を含むブログ (22件) を見る