谷崎潤一郎 『富美子の足』

 大正8年に書かれた短編小説。足フェチの話である。
 谷崎32歳のときの作品だが、晩年に 『瘋癲老人日記』 を書いた頃の作者を思わせる老人が登場する。
 芸者上がりの妾・富美子の足の描写が延々何ページも続く。老人は最後、病気で寝たきりになり、富美子に額を踏まれながら悦楽の中で死ぬのだけど、こういう死に方も悪くないと思う。