2009-01-20 島崎藤村 『春』 読書中 日本文学 春 (新潮文庫)作者: 島崎藤村出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1950/11/30メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 6回この商品を含むブログ (19件) を見る 『春』 は明治41年に朝日新聞に連載された小説である。『春』 の直前に同新聞に連載されたのが、夏目漱石の 『坑夫』だったのは不運というべきだろうか。どちらの作品も、主人公が恋愛関係で悩んだあげく、家出している最中の話なのだ。完全にネタがかぶっている。しかも、先行の漱石作品は、恋愛小説のパロディのような小説なのである。『春』 は藤村が長年温めてきた自伝的小説だが、これは藤村先生、不利としかいいようがないだろう。 さらに、『春』 の後に連載されたのが、同じく漱石の 『三四郎』 である。この時点で勝負がついている。 とはいうものの、『春』 は面白いのだ。