浅田次郎 『壬生義士伝』
号泣した小説教えて下さい : VIPPERな俺慶応四年一月。鳥羽・伏見の戦いの大勢は決し、幕軍は潰走を始めていた。そんな中、大坂の盛岡藩蔵屋敷に満身創痍の侍が紛れ込む。かつて盛岡藩を脱藩し、新選組の隊士となった吉村貫一郎であった。保護を求める吉村に対し、蔵屋敷差配役であり吉村の旧友であった大野次郎右衛門は冷酷にも彼に切腹を命じる。 時は流れ、大正時代。吉村を知る人々によって彼の生涯が語られる。
2ちゃんのスレでも※欄でも大絶賛の浅田次郎 『壬生義士伝』 (2000年発表)を読んだ。
スレで 「卑怯」 とか 「反則」 とかさんざん書かれているが、まったくそのとおりなのである。電車の中で読んでいて、不意打ちをくらい、声をあげそうになるくらい泣いてしまったのだ。
冒頭に引用したストーリー要約は、ほんの序章部分にすぎない。幕末から明治維新にかけての戦の歴史と、過剰ともいえる家族への愛に生きる主人公の筋書きが中心だが、泣かせどころはメロドラマ的な部分ではなく、もっとはるかに大きなもの、郷土愛、人類愛と呼ぶべきものにある。
個人の死を美化しすぎているような部分も感じられるが、あまり理屈をこねず、この小説の描き出す歴史と人物を堪能するのが正解なのではないかと思った。
- 作者: 浅田次郎
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2002/09/03
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