三点リーダが多すぎる小説
オフィーリアがハムレットにあてて書いた遺書。
かうして字を並べてゐれば、その中に夜が明けます。夜が明けたらと妾は念じてゐるのです。夜が明けさへすればみんなお終ひになる。何故って、さうなつたんだもの、はつきり、さうだと、わかるんだもの、どうぞうまく行きます様に、………………………………おや、おや、点々ばかり書いてゐて、どうする気でせう。女の手紙には、必度、点々があるものだ、と、あなたはおつしやる。ありますとも。点々だつて字は字です。あなただつて、気違ひは気違ひです。
小林秀雄 『おふえりや遺文』
女はおそろしい。いや、なんでもない。
- 作者: 小林秀雄
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2002/12/01
- メディア: 単行本
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