『携帯彼氏』
ケータイ小説初体験
ゴールデンウィークだというのに面白そうな映画もやってないしどうしよう、と思っていたのだが、以前から気になっていたケータイ小説を読んでみることにした。- 作者: kagen,ハナチュー編集部
- 出版社/メーカー: 主婦の友社
- 発売日: 2008/02
- メディア: 単行本
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カラフルな表紙がなんだか恥ずかしいし、横書きで改行の多い本なので、カバーをかけて読んでいても、ケータイ小説だというのがバレバレである。
でも、そんなことは気にせず、読み始めると……。
コレハオモシロイ。
一気に読み終わってしまったのである。ケータイ小説、なかなか馬鹿にできないじゃないか。
『携帯彼氏』はホラー小説だった
カバー帯に「ミステリー」と書かれているが、本書はホラー小説である。(あらすじ)
恋愛シミュレーションゲーム“携帯彼氏”をダウンロードすると死ぬ。
主人公・里美は、謎の死をとげた友人の死の真相を探るため、自らの携帯に“携帯彼氏”をダウンロードする。謎が明らかになるにつれ、自身にも迫る死の恐怖。携帯を壊す、捨てる、機種変・解約するなどあらゆる方法を試しても、この恐怖からは逃れることができない。液晶画面の中で、“携帯彼氏”は今も微笑んでいる……。
なにしろ1ページ目から、人が立て続けに死ぬ。スプラッターな場面も多い。(そういうのが苦手な人は読まないほうがいい。)
次から次へと事件が起こるストーリー展開で、畳み込むようなテンポの良い文章も見事なものだと思う。
そうだ。短いセンテンスをつないだような文体は、この物語にマッチしているのだ。
ケータイ小説の描き出す世界
学園ものと呼ばれる小説・マンガの多くは、どんなに大きな事件が起こっても学校内で全てが解決する。それと同様に、本作の主人公は20歳の社会人だが、全ての事件は主人公の目の前で起こり、社会全体が混乱に陥ることはない。また、謎を解くための情報源は全て友人から聞いた噂話であって、裏づけなどないのである。医者も警察も(ほとんど登場しないマスコミも)頼りにならないのだ。ごく身近な人間関係と狭い行動範囲の中だけで全てを解決しようとするのは、さすがに無理がある気もするのだが、ある意味、そういう縛りをかけた上で話を展開させるところに、ケータイ小説の新しさがあるのではないだろうか。
作中、主人公は携帯電話に依存したコミュニケーションのあり方に疑問を投げかける。しかし、そういう生き方を否定するのではなく、そのまま受け止め、肯定しようとするところに、若い読者は共感するのではないかと思った。
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携帯彼氏[魔法のiらんど]
『携帯彼氏』が掲載されているサイト。
書籍版はかなり加筆・修正されているようで、特に結末部分のニュアンスが異なっている。