男やもめの父さんに育てられた末娘の袖子は数え十五歳。ちょっと前までは人形遊びに夢中になっていた少女である。 娘の風俗(なり)はなるべく清楚に。その自分の好みから父さんは割り出して、袖子の着る物でも、持ち物でも、すべて自分で見立ててやった。そ…
東京の病院院長の娘、実子は病気がちな体の保養を兼ねて、信州松本近郊の山辺温泉を訪れる。松本で教師をしている友人二人と合流し、女三人の温泉旅である。 …………実子はめずらしい食慾をも覚えて、宿の茶碗に三つもかえるようになった。小さな茶碗でせいぜい…
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