The Bill Evans Trio / Since We Met

Since We Met

Since We Met

  • 1974年1月11〜12日録音。
  • Bill Evans (p), Eddie Gomez (b), Marty Morell (ds)

 ニューヨーク、ヴィレッジ・ヴァンガードにおけるライヴ盤。レコード発売順でいうと、Fantasy レーベル移籍第1作ということになるのだろうか。(今ひとつ自信がないのだけど。)本アルバムのような気合、気迫に満ちた作品を発表するということは、さまざまな製作背景のようなものがあるのではないかと思うのである。
 オリジナル LP は全7曲入り(CD は1曲追加)。前半4曲がすべて4分の3拍子の楽曲である(ボーナストラックも3拍子だ!)。元々ワルツを好んだビル・エヴァンスだが、この選曲は極端である。だが、似たような感じにならないところが、エヴァンスの優れたところであって、本作の優れた点だといえるだろう。
 さて、1950〜60年代のビル・エヴァンスのピアノは(極端にいうと)鍵盤の真ん中へんばかり使って弾いているような感じで、音が中音域に集中しているような傾向があった。また、60年代後半以降の、特にライヴにおける演奏は左手のコードが強すぎて、全体のバランスを損なう場面が多かった。本アルバムでは、この2点が大幅に改善されており、彼のピアノ演奏スタイルが大きく変貌をとげているのである。
 エディ・ゴメスのベースはピックアップを装着しており、イコライザーで低域をブウウンと鳴らしている。また、マーティ・モレルはブラシを多用、3拍子の楽曲にはよく合っていると思う。本作は、この3人による到達点である。