Thelonious Monk Quartet / Monk's Dream

Monk's Dream

Monk's Dream

  • (5), (7), (10), (12) …… 1962年10月31日録音。
  • (3), (10), (11) …… 1962年11月1日録音。
  • (1), (6), (9) …… 1962年11月2日録音。
  • (4), (8) …… 1962年11月6日録音。
  • Thelonious Monk (p), Charlie Rouse (ts), John Ore (b), Frankie Dunlop (ds)

 コロンビア・レーベル移籍第1作。ついにメジャー入り! と言いたいところだが、モンクの当時の人気は如何ほどのものだったのか、よくわからないのである。61年のヨーロッパ・ツアーが成功をおさめたのを受けて、メジャー・レーベルへ移籍したのは確かだが、当時のアメリカのジャズ・シーンの最先端であったマイルスやコルトレーンの音楽、あるいはオーネット・コールマンを代表とするフリー・ジャズのムーヴメントと、モンクの創り出す音楽はあまりにも違いが大きいのだ。
 それはさておき、本作は後期セロニアス・モンクを代表する名作アルバムである。個人的には、リヴァーサイド時代の "Brilliant Corners"、"Monk's Music" と並ぶ名盤だと思う。メンバーは前年に欧州ツアーをともにしたカルテットだ。このカルテットによる最高傑作であるのは間違いないだろう。(このあと徐々に下り坂へ向かうのも確かである。)
 テオ・マセロがプロデュースを手掛けたオリジナル LP は全8曲入り。2002年リマスター盤は、リヴァーサイドのプロデューサー、オリン・キープニューズがプロデュースして、最初から音を作り直し、さらに4曲の別テイク(合計27分近い)が追加されている。8曲のうち、3曲がスタンダード・ナンバー、5曲がモンクのオリジナル。また、7曲は過去に録音したことのある曲で、新曲は (3) のみである。(この後のコロンビア盤はこういう選曲パターンが多い。)
 (3) "Bright Mississippi" はスタンダード曲 "Sweet Gerogia Brown" のコード進行を用いながら、さらに複雑なハーモニーをつけたアップテンポの曲で、後期モンクのライヴで必ず演奏されるようになった名曲だ。
 いつもマイペースだったモンクの演奏は、本セッションではどちらかというとバンドの統率者として音を出しているように聞こえる。ラウズのテナーは、ややピッチ高め(次作ではさらにピッチが狂っていく)。ベースとドラムはノリノリで、特にダンロップのドラムは彼の参加作の中で最高なのではないかと思う。