Miles Davis & Marcus Miller / Music From Siesta

 1987年公開の映画『シエスタ*1サウンドトラック・アルバム。前作 "Tutu" 同様、マーカス・ミラーがほとんどの楽器を多重録音で演奏しており、マイルスとマーカス・ミラーの共作名義で発表された。
 全10曲(メドレー形式になっていて、曲のタイトルは18曲クレジットされている)入り。(3) の前半のみマイルスとマーカスの共作で、それ以外はすべてマーカス作曲である。収録時間38分というのは、80年代のマイルスのアルバムでは最も短いが、アナログ LP からコンパクト・ディスクへ移行しつつあった時期にしては、中途半端な感じがする。(当時は映画も日本では公開されなかったし、単独で発売するほどの内容でないのは事実だ。)
 ギル・エヴァンスとの共演作 "Sketches Of Spain" (1959年録音)の雰囲気をそのままシンセサイザーで再現したような作品で、その雰囲気から離れた曲が一つもないため、かなりワンパターンな感じのアルバムになってしまっている。
 また、マイルスが参加していない曲も多く、全体としてマーカス・ミラーのバス・クラリネットのほうが目立っている。マーカスのアルバムには必ず彼のバスクラ独演が入っているのだけど、誰も止めようとしないのだろうか。いい加減にしてもらいたいものである。
 

*1:てっきりスペイン映画だと思っていたのだが、アメリカ映画だった。