Miles Davis / Water Babies

Water Babies (Dlx)

Water Babies (Dlx)

 1967年のアコースティック・クインテットと1968年のエレクトリック・セクステットの録音を LP レコードの片面ずつに収録したオムニバス盤。1976年に「未発表録音集」として発売されたアルバムである。
 オリジナル LP は全5曲入り。2002年リマスター盤は (6) が追加されている。(1)〜(4) はウェイン・ショーター作曲。(5), (6) はマイルス作曲。((5) はマイルスとトニー・ウィリアムスの共作名義になっている CD もある。)
 前半3曲はアルバム "Nefertiti" と同時期の録音。なぜボツ(お蔵入り)になったのかわからないくらい良い曲だ。メジャーとマイナーが混ざった、ショーター独特のメロディが印象的である。ひょっとしたら、メロディが良すぎる(ソロが目立たない)のが原因かもしれない。69年に、ショーターはこれら3曲を自身のリーダー作 "Super Nova" で再演しているが、まったく違ったアレンジになっているのが面白い。どちらも名演奏である。
 後半、(4) と (5) は "Filles De Kilimanjaro" と "In A Silent Way" の中間の時期の録音。ハービー・ハンコックチック・コリアの二人が共演している。ハービーが弾いているエレピはウーリッツァー。チックが弾いているのは RMI。チックのほうは音量・音圧ともに乏しく、何のために参加したのかわからないレベルである。
 (4) は18分もあって、単調で長いだけの曲。(5) はトニーのドラムが大活躍する8〜16ビートのファンキーな曲。マイルスとショーターのソロもかっこよくて、68年の楽曲の中ではこれが一番好きだ。
 (6) は、1979年発表のオムニバス盤 "Circle In The Round" が初出だが、冒頭のパートが1分半くらい長くなっている。曲調は (5) にそっくりで、そのまま5/4拍子に作り直したような感じ。
 旧盤 CD は他のアルバムと逆に、高音域が強く硬い音がしていたが、2002年リミックス盤では全体のバランスが良く、きめ細やかな音になっている。(このアルバムも買い換え必須だと思う。)