Miles Davis / The Complete Live At The Plugged Nickel 1965

The Complete Live At The Plugged Nickel 1965

The Complete Live At The Plugged Nickel 1965

 "E.S.P." を発表した後、マイルスは体調不良のため入院、手術と一時的に引退状態となる。一方、1965年はクインテットのメンバーはそれぞれリーダー作を発表するなど活動的な年であった。本CD BOXは、長期的なブランクを経たマイルスがシカゴのジャズ・クラブ、プラグド・ニッケルに2週間にわたって出演した際の、12月22日、23日の演奏をすべて収録したものである。
 オリジナル LP は1976年に2枚のレコードに分かれて、当初、日本のみ発売された。その後、選曲やテイクの異なる CD が何度も発表されたが、1995年に 《コンプリート》 と称した CD-BOX に2日間合計7ステージの演奏が全部収録されている。
 全39曲入り、8枚組(日本盤は7枚組)、演奏時間7時間32分という膨大な量の CD だ。音質に難があり、ピアノはややオフ気味、逆にシンバルは強すぎで、長時間聴くと疲れる音である。(という割に長時間聴いている。)
 各種レビューでは絶賛されているようだが、他のライヴに比べると演奏の質は決して高くない。なにしろマイルスが下手くそである。トランペットの音はヘナヘナだし、ミスが極端に多い。ショーターのソロも大半は意味不明だ。エンディング・テーマを10分以上も続けるなんて、どうかしている。観客もまじめに聴いていないようだ。
 これは!という曲、演奏に欠けるのである。76年の初出以来聴き続けているが、いまだにどこが良いのかわからない。

Cookin' At The Plugged

Cookin' At The Plugged

 こちらは、1987年に発売された編集盤。12月22日の録音ばかり収録(初出のLPは23日の録音がほとんどだった)している。名プロデューサー、テオ・マセロによる編集が施されていて、曲の長さが1〜2分程度短かったり、マイルスがミスった箇所だけ音が小さくなったりする。強めのリヴァーブがかけられていて、ワーンと響く。ベストな選曲とはいい難く、わざとちょっと外したような感じがする。20年以上前のCDだが、現在でも入手可能。

Highlights From Plugged Nickel

Highlights From Plugged Nickel

 こちらは、1995年に発売されたハイライト盤。オリジナルの2枚の LP と重複するテイクが6曲が収録されている。("Cookin' At The Plugged Nickel" と重複するテイクはない。)比較的バランスのとれた選曲だと思う。マイルスの他の作品に親しんだひとが、初めてこれを聴いたらびっくりするに違いない。(でも、それ以上のものではないので、あまり期待しないように。)