Miles Davis Quintet / Miles Smiles

MILES SMILES

MILES SMILES

 前作 "E.S.P." から1年9ヶ月ぶりにレコーディングされたスタジオ録音盤。翌年になってから発売されたので、1966年は公式アルバムが出なかった年ということになる。
 全6曲入り。(1), (3), (4) はウェイン・ショーター作曲。(2) はマイルス作曲のオリジナル。(5) はテナー奏者エディ・ハリス作曲のカヴァー曲。(6) は同じくテナー奏者ジミー・ヒース作曲のカヴァー曲。(カヴァーといっても両曲とも当時は無名。本作によって人気が出て、ジャズ・スタンダードの定番曲となった。)
 本作の特徴は、まずショーターが作・編曲とアドリブの両面で非常に活躍していること、また、ハービー・ハンコックが大半の曲でソロ以外の伴奏パートを弾いていないこと、そして、マイルスが体調不良から完全に立ち直っていることである。
 (3) はショーターが自身のリーダー作 "Adam's Apple" (1966年2月録音)で吹き込んだ曲の再演。初演時とはまったく違った複雑なリズム・アレンジになっているが、どちらも素晴らしいと思う。ショーターの長いキャリアを代表する名曲である。
 (5) はトニー・ウィリアムスの叩きだすポリリズムが印象的。"Eighty-One" 同様、キメがかっこいい曲である。(オリジナル盤は冒頭に指パッチンのカウントが聞こえるが、リマスター盤ではカットされた。この曲に関してはカウントがないほうがすっきりする。)
 1998年リミックス盤は高音域が強くなり、シンバルやハイハットの音がくっきりしている。また、オリジナル盤は曲と曲の間に10秒前後の空白(マイルスの声や会話、カウントなどが入っている)が挿入されていたが、そういうのがほとんどカットされ、全体で1分程度短くなっている。わりと今日的なサウンドになっているし、余計な空白を取り除いたのも正解だと思うのだが、こういったオリジナル盤からの改変は10年後20年後に受け入れられるのかどうかよくわからない。