Miles Davis / Miles In Berlin

In Berlin

In Berlin

 ベルリン・フィルハーモニー・ホールにおけるライヴ録音盤。本作よりテナー奏者ウェイン・ショーターが参加し、後に 《黄金のカルテット》 と呼ばれるようになった。
 オリジナル LP は全5曲入りで、すべてミディアムからアップ・テンポの曲ばかり収録されていたが、2005年リマスター盤(アメリカではそれまで CD 化されていなかったらしい。)には、スロー・バラードの (4) "Stella By Starlight" が追加された。なお、アナログ盤と初期の CD は疑似ステレオ、2005年リマスター盤はモノラル・ミキシングである。
 この時期、曲のテンポがどんどん速くなっていたのだが、(2) 「枯葉」は久しぶりにミディアム・テンポで演奏されている。マイルスのソロは非常にかっこいいのだけれど、新加入のショーターは何やら戸惑っているようだ。この曲はII-V (ツー・ファイブ)というコード進行の繰り返しで構成されているのだが、どうもショーターはこれが苦手だったようで、他のアルバムを聴いても同じくII-Vがメインになっている "All Of You" や "Mack The Knife" のソロは1ランク下がってしまうのである。「枯葉」の話に戻ると、テナー・ソロが終わりハービーのピアノ・ソロが始まるあたりから、ぐっと良くなっていると思う。
 一方、(1) や (3) などコード・チェンジが少ないモード曲では、ショーターが実力を発揮。加入して間もないクインテットに、新風を巻き起こしている。ただし、グループ全体の足並みが揃うのはもう少し先のことだ。
 (4) が追加される以前のヴァージョンは音質劣悪、こもったような感じの音である。また、(3) のエンディングの拍手が鳴りやまないうちに (5) が始まるので、つながって演奏されているのかと思っていたら、これは編集であった。(あいだに (4) が追加されたが、同じようにクロスフェイド編集されている。この編集はわりと良い感じ。)